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2006年11月25日 (土)

異人(まれびと)の音

もしも、の話です。

ギターというものを知らない国があって。
でもギターというものをなぜか手に入れて。
どう演奏していいのかぜんぜんわからない。

でも、弦をはじけば音が出る。
ボディーを叩けば、音が出る。
弦を叩くと、七色の倍音が出る。

これは面白い、と、その国で何世代もの音楽家たちが、
さまざまな工夫を重ねながら、ひっそりと完成した音楽。


そんなふうにも聞こえる音楽に出会いました。
大樹(たいき) Dragon's gate

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ギターからはこんなに豊かな音が出るのかと驚きます。
そして、それが思いつきに留まらず、ひとつの完成度の高い音楽を演奏するための素材として機能していることに、さらに驚きます。

ギターのボディーを叩くパーカッション。
指でたたき出すハーモニクス。
ハーモニクスというのは、弦の倍音のこと。
弦の長さのちょうど2分の1、3分の1、4分の1、、、、、にあたるポイントを指でそっと押さえて、弾いた瞬間指を離すと、押さえたポジションよりも高い音が倍音として鳴ります。
また、そのポイントを強く叩くと、パーカッシヴなアタック音と一緒に倍音が出ます。

時には指をしならせてパーカッションのようにギターの横を叩いたり、複雑な指使いでハーモニクスのさまざまな和音をたたき出したり。ファンキーだったり、オーガニックだったり、さまざまな表情を見せながら、いろいろな技が圧倒的な構成で展開されていきます。
レコードを聴いても面白いでしょうが、こればかりは見たほうが衝撃が大きいでしょう。

同志社京田辺祭り'06のホームページ
ここから大樹さんの「視聴可」をクリックしてみてください。


ここからはちょっとトリビア。

ハーモニクスの組み合わせから導かれる12音を純正律といいます。倍音の関係でできた音階ですから、濁りのない和音が鳴るわけですね。
でも、たとえばC(ド)の音を基準に純正律でチューニングし、その音列を別な調で演奏すると、和音の響きが違ってくるのだそうです。ハ長調でのドミソはきれいに響くが、嬰ハ長調のドミソは濁る、というような事態です。

音感のいい人は調によって曲のニュアンスが違うと感じるそうですが(私には絶対音感がないためか、この感覚はありません)、それと関係が深いことなのかもしれませんね。

で、ある調しか美しく演奏できないとなると、転調ができません。それで、どんな調でも聞きやすいチューニングということで開発された妥協の産物が「平均律」。現在のピアノなどほとんどの楽器で使われている調律方法です。
妥協の産物、といいましたが、私たちは子供のころからみんな「平均律」の音階のほうばかりに親しんできたわけで、

「純正律は音のうなりがないピュアな響き、平均律は和音によってはうなりが生まれる」なんてよくいいますが、静かな環境で、ピアノの生音を聞くと、そのうなりは感じられると思います。

大樹さんのように倍音で音楽を構成していくと、私たちが普段なじんでいる「平均律」ではなく、「純正律」に近い響きになります。
大樹さんは自分であみだした11ものイレギュラーチューニングで演奏するそうですが、そして、完全に独学で作り出した音楽ということで、ほとんどコードネームも知らない、って言っておられましたが、、、
出る響きはピュアでした。

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