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2007年1月

2007年1月14日 (日)

ねじまき鳥の鳴き声

東京渋谷で、いやな事件が続きました。

ニュースをみてすぐに思い出したのが村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」でした。

この小説の中に、昔は何軒かの家の裏口をつないでいた路地が、都市開発が進む中で道の両方を塞がれてしまっい、誰も入れない「袋小路」(デッドスペース)になってしまった空間が出てきます。「風水的に言えば、、、、」、なんて理屈を立てなくても、風が通らない、とても閉塞的な場所です。
主人公は、この袋小路をさまよう中、自分でもおさえきれない破壊衝動で彼を翻弄するチャーミングな少女や、異次元とつながる井戸と出会うことになります。主人公は、この道を時々さまよいますが、そこには小市民的な幸せを感じる裏庭もあれば、壊れてしまった幸せを感じさせる裏庭もあります。自殺があったり、家庭が崩壊したりと、とても不吉な、できれば見たくない場所。その庭には、空へ飛び立とうとしても飛べない、鳥の彫刻が羽ばたいていました。


これはワイドショーネタなのでウラがとれていないお話ですが、死体の一部を遺棄したのは、渋谷区神山町の誰も住んでいない家。そこへ、まさに春樹的な裏道があり、そこを台車に死体を乗せて運び、埋めたということです。埋めた死体の上に植木鉢を置いたというのが印象的でした。

この報道を聞いたときの私の衝撃を、どう言葉にすればいいかわかりません。
ふと、村上春樹が「ねじまき鳥クロニクル」で予見した、日本の家庭がかかえる闇を感じたのです。

それぞれ、細かい事情は異なる、裕福な家庭を舞台にしたディープな事件です。もっと取材が進めば見えてくるところもあるでしょうが、たぶんいくら取材が進んでも見えてこない闇の部分を抱えた話だと思います。

「みみをすます」とはそぐわない話題なのかもしれませんが、世の中に自分が考えなくてはならないとても大事な動きが起こっている気がして、書いてみます。

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2007年1月 8日 (月)

俺の考えるファンク。

ようやくパソコンが戻ってきました。
今日は朝からパスワードを入れなおしたり、ちょっとネットで遊んだり、新聞を整理したり。
せっかくの休日なのに、、、、。

暮れからパソコンでごたごたしているうち、ジェームス・ブラウンが亡くなりましたね。命日はクリスマスという、まったく彼らしい演出つきで。最後まで粋で鯔背なおじさんでしたね。
薬や銃など、いろいろ困ったエピソードもあった人ですが、なくなってしまえば、やがてあの「ゲロンパ」だけが残るのかも。

JB死してゲロンパを残す。


さて、去年、ミスター・ジェイムスのアルバムを紹介するという約束をして、うやむやになってしまっていました。
そこで、今年はこれから始めます。

"Soul on Top" James Brown

タイトルは、「頂点のソウル・ミュージック」というより、「ジャズをベースにソウルをトッピング」という感じ。
なんと言ってもこれは、ジェームス・ブラウンがジャズのビッグ・バンドと腰を据えて向き合ったアルバムなのです。


アレンジャーはビッグバンドでは手慣れのオリヴァー・ネルソン。「いかにもカウント・ベイシー風」、から、「16ビートリズム&ブルース風味」まで、カラフルで洗練されたアレンジを見せてくれます。

一曲目、"That's My Desire"ではお得意のJBシャウトもなく、純粋に歌のうまさを見せ付けてくれるものの、2曲目のハンク・ウイリアムズの名曲"Your Cheatin' Heart"でブラスセクションが掛け合いであおり始めると、JBもう止まりません(JB師匠、これ、もともとはカントリーの曲なんですけど、、、、、)。

「ぅいーーぉ」、というお約束の雄たけびまで登場して、いつものJBペースに。

他流試合でも結局は横綱相撲という、JBの熱さ(暑苦しさ??)がたっぷり楽しめる一枚です。
でも、ほんとに、このアルバムの"It's a Man's,Man's, Man's World"、泣けます。

ちなみに、歌詞は他愛もなくて、
-----------------------------------
世界は男のもの。
男は車を作った、遠くへ行くために。
男は鉄道を作った、重い荷物を運ぶために。

でも、女も女の子もいない世界なんか、
無と一緒だよ。
----------------------------------
なんて感じなのですが、バッキングは完全なR&Bマナー。

ハイノートでちょっとテンパった感じのトランペットとギターのカッティングをバックに、JB、煽る煽る。
いつものとおり後半の歌詞はほとんどアドリブでバンドや聞き手を挑発して、血管が切れそうになるまで盛り上げて終わります。
これと、次の"The Man In The Glass"のメドレーにはいつもやられっぱなしです。
これぞ、ソウル。

"Monk's Blues" Thelonious Monk

さて、実はこのアルバムと同じ年(1969年)に、ネルソンはセロニアス・モンクとも組んでいます。
モンク+ビッグバンドという企画もののコンサート、後に"Monk's Blues"というアルバムにまとめられるアレンジャーがネルソンだったのです。

このアルバムでのオリヴァー・ネルソンのアレンジは、JBでのそれとは違い、ジャズ王道路線ですが、ゴージャスで整然と、バシバシにリフを決めていく感じは共通しています。

でも、こっちのネルソンのアレンジはどうも乗れない、、、、。
モンクの演奏とは水が合わず、アレンジが大仰に聞こえてしまうんですよ。なんというか、大げさすぎてつい失笑しちゃう感じです。
同じアレンジャーでこの違い、なんなんだろうと考えて、思い至ったこと。

ネルソンのバッキングは整然としすぎていて、迷いがなさすぎるのです。

普段のモンクは、共演者がメロディーを弾いている時、わざと「輪唱」風にずらして同じメロディーを弾いてみたり、途中で弾きやめてしまったりと、共演者を迷わせてばかり。
一言で言えば「イジワル」なことを平気でやります。

プレステッジでのクリスマスセッションで、マイルスがモンクに、「俺のソロの時は伴奏を弾くな」と言ったという逸話がありますが、確かに、あのバッキングだと、ほんとに演奏しづらいと思います。


特にモンクの曲は譜割や各フレーズの小節数もジャズの曲としてはかなり変則的なので、ノリだけで吹こうとするとすぐにどの部分を演奏しているのかわからなくなります。なので、緊張しつつ、カウントをしっかりとりながらソロをやらなければいけないというわけです。
(一応、注。マイルスとの逸話を産んだ"Bug's Groove"はモンクの曲ではないですが、それでもバッキングはモンク節全開です。)

緊張を強いられるのは聞き手も同じで、ぼーっと聞いているとソロの切れ目がわからなくなってきます。

でも、これこそがモンクの意図したところで、そうすることによって共演者(聞き手も)の動揺をさそい、演奏の中にテンションの高い裂け目を作ってゆくのです。

このせいで、時には曲の進行ががたがたになるほどの「大事故」になることもあります。


アルバム『Monk's Music』などがいい例でしょうが、みんなが次々に間違えて(作曲者のモンクまで!)、演奏中止寸前になったりもしながら、でも、なんとか一曲にまとめようとする火事場の馬鹿力がこのアルバムには満ち満ちています。
アルバムの中でももっとも破綻している"Well, You Needn't"がOKテイクになったということ自体が、モンクの考える「ヒップ」というものを語っています。いわば、「破綻寸前のスリルこそジャズだよ。」ってかんじでしょうか。

先ほどのマイルスはまさにモンクのそういう手法を嫌ったわけで、いかにもスタイリッシュなマイルスらしいエピソードですよね。マイルスの考える「ヒップ」との差がここに見える気がします。こちらは、モンクと対比して言えば、「俺の考えるジャズはこれだ」です。


モンクが、共演者に「迷い」を求め、仕掛けるのだとすれば、ネルソンのアレンジは、どうにも「建て付けがよすぎて」アソビがなさすぎました。まあ、オーケストラなんて、もともとばっちり譜面になっているものですから、迷いなんて入る余地はあんまりないんですが、それを言えば、同じオーケストラでも、タウンホールでやったオーケストラのライブ映像では、モンクはおもいっきり現場を混乱させています。
モンクが楽譜を持ってこず、メンバーに曲を口で説明するのですが、これが全然伝わらないのです。

この映像は、DVDが今手元にないので確認できないのですが、たぶんこれです。

"American Composer" Thelonious Monk


音はアルバム”Orchestra At Town Hall"で聞くことができますが、これは楽しいですよ。

、、、、すいません、いつものように話がどんどんそれていく。


では、モンクにフィットしないネルソンのアレンジが、なぜJBにはばっちりはまるのでしょうか。

たぶん、JBの叫びや、熱気には、ある種の演劇的要素があるからなのではないかと思います。
JBが暴れるためには、彼の完璧なコントロールの下、かっちりとしたバッキングが必要だったのではないでしょうか。JBのバンドでは、彼が歌いながら指やしぐさでキメを合図し、それをきちんと決めないと罰金を払わなければいけなかったというエピソードがあります。「バンドは私の楽器だ」というわけでこれは、デューク・エリントン的でもありますね。

それはともかく、「俺の考えるファンクはこれだ」と、研ぎ澄ました作品を提示するJBの姿は、なんだかマイルスとかぶります。

、、、、、、、、、、、、。

モンクの音楽は、すごく極言すれば、アウトサイダー・アートです。
崩れそうなのになぜか崩れない。そして、その奇妙なバランスがなぜか美しくみえるという意味において。


同じ偉大な黒人アーティストながら、二人の目指す音楽は、正反対だったのかもしれませんね。


話がうまく落ちませんでしたが、まあ、リハビリということで。「今日はこれくらいにしといたるわ!」 (C)池野めだか@吉本興業

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2007年1月 3日 (水)

新たな気持ちで

昨年、パソコンが壊れたおという話を書きました。

いろいろとメーカーさんとやりとりしたのですが、まあ、とりあえず、次同じ壊れ方をしたら新品に換えます、という約束を取り付けました。修理終了は年明け、と聞いたのですが、まだ連絡はなし。

早く治らないかな。

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