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2008年5月

2008年5月 8日 (木)

再びの

3月に続き、またニューヨークにいくことになりました。
これから飛行機に乗ってきます。

今度は春らしい陽気を期待しているのですが、天気はどうかな。

いつもの通り、予習をあんまりしていないのですが、ちょっとのぞいたウエブでは、ブルーノートニューヨークのLionel Louekeというギタリストのブルーノートデビューライブ、Charlie Hadenのトリオなどが気になっています。仕事で行くので、どれぐらい余裕があるのかは未知数ですが、時間さえあれば、睡眠よりもライブを選びます。たぶん。

では、いってきます。

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2008年5月 1日 (木)

ガマの油売り(?)上原ひろみ賛江

2枚が4枚、4枚が8枚、8枚が16枚。

昔懐かしい、ガマの油売りの名文句です。
「取り出したるは夏なほ寒き氷の刃。」とドキドキするような日本刀を見せ、半紙を二つ折りにして日本刀で2枚に。2枚を重ねて4枚に、、、、と日本刀の切れ味を試しておいて、腕に傷薬「ガマの油」を塗った後、おもむろに腕にすっと切りつけると、全く血が出ない。
これがどんな傷も治してくれるガマの油の効能というわけです。

早速無駄話でした。


とにもかくにも、チック・コリア&上原ひろみの武道館ライブ、行ってきました。

チックは、「司会、パーカッション、ピアノ チックコリア」。という感じで終始大サービス。
MCの中では、「日本にはたった1泊して、また次のコンサートに向かうんだよ」、なんてコメントもあって、チックのこのライブへの思いが感じられました。

上原さんは、音数で言うとチックの2倍は弾いていたと思います。でも、最後まで一音一音がすごくクリアーに聞こえて、、、、。なんてピアノがうまいのだろう、と思いました。
対するチックは、スモーキーな和音で、間で聞かせるタイプの演奏。「もあ~ん」とした音の塊が置かれていく感じで、目立たないぶん、コンサート全体で上原さんに食われていました。
でも、ほおっておけばどんどん飛んでいってしまう上原さんの滑走路的な役割を、チックも楽しんでいるようにも見えて。本当に楽しそうに演奏を続ける二人を見ているとハッピーになってしまう感じで、幸せな2時間でした。

というとチックは伴奏していたか、という話になりますが、もちろん違います。
ほんとうに耳のいい二人。実に、相手のフレーズを聞きながら音を出しているのです。即興なのか、オブリガートの瞬間もあったりして、そんな瞬間にははっとさせられます。

この二人にはアルバムもあるのですが。



"Duet" Chick Corea & 上原ひろみ


このアルバム、ブルーノート東京のライブだから、というわけでもないのでしょうが、なんだかやたら食器のカチャカチャの音が聞こえるのですが。これもなにやら

"Waltz for Debby" Bill Evans trio を思わせて、逆に名盤感を高めていたりもします。


えーと、ガマの油売りの話を忘れるところでした。

ライブの最中、上原さんのリズム認識が日本人離れ(むしろ人間離れ?)していると感じる瞬間が、何度もありました。チックの四分音符のメロディーの裏で、上原さんは思いっきり16分音符の早弾きフレーズを鳴らしていたりして、そのタイム感が、異常な感じともいえるんだけど、なんかすごく新鮮なリズム認識でした。

うまく言えるかな、、言葉にするのが難しいのですけれども、、、、


ピアニスト、グレン・グールドのドキュメント番組を見たことがあります。たぶんカナダの国営放送の制作だったかな。
グールドはカナダの大自然を散策している。そこで、(たぶんバッハの)フレーズを口づさむのですが、グールドは、16分音符を「タラリラ タラリラ」とは歌わず、「パパパパ パパパパ」と、一音一音をパ音で歌っていたのです。(うろおぼえなので、本当にパパパパだったかは別として、、、、、)

このシーンを見たとき、グールドにとっては、16分音符は4つで一つのまとまりではなく、それぞれ独立した音符なのだと思って感動した覚えがあります。

タラリラ(×4回)と歌えば、それは常に4×4で区切れる安定した音の塊なのですが、パパパパと、あえて音の関係性をなくして歌うことで、さまざまな区切りを容認する不安定な音の連なりに変わります。
メロディー、音の強弱、息継ぎなど、さまざまな要素で、たとえば3・3・3・3・4=16、3・3・4・3・3=16、、、、、などなど、無限の区切りがありえるし、また実際に、複数の区切りが併行して感じられ、そのために幻聴のようにうねりが聞こえてくるのです。

上原さんのリズム認識も、4分音符があればそれをさらに4つに割って16に感じようとする、その細かさと、その譜割りの融通無碍さが、とても異常で、そして好ましく感じられました。


ところで、終始押されてたチックが本領を発揮したのがアンコール。
セロニアス・モンクの"Ba-Lue Boliver Ba-Lues-Are"というブルースでした。
オリジナルはこの超破綻しまくりの大名盤より。



"Brilliant Corners" Thelonious Monk

チックがテーマを提示したときはいかにもブルース、といったルーズな「南の感じ」が横溢していたのですが、それを上原さんがどんどん微分していくと、モンクの音楽の持つ豊かさ、潤いが消えていった気がしたのです。

私がモンクの音楽に愛着を感じているということが大きいのかもしれませんが、たぶん、モンクの音楽は上原さんのような「微分的」解釈では、指の間をすり抜けていってしまうたぐいの音楽なのです。
そういえば、チックもこの曲のバッキングだけは執拗にテーマメロディーを意識した弾き方をしていましたが、モンクの曲のおそろしさは、そういうふうに慎重に扱わないと弾き手が浮いてしまうほどの強いブラックネスが、メロディーそのものに宿っているということなのでしょう。
この曲だけは、完全にチックの一人勝ち。


でも、そんなふうにキャリアも年齢も違う二人が奇跡のようにじゃれあう様子を見ていると、小ざかしい分析なんて吹き飛んでしまうのも確か。

とにかく、二人は楽しそうだった。

それが一番、大事なことで、それを感じたからお客さんはみんな幸せな気分で武道館を後にしたのだと思います。

素敵なコンサートでした。

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