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2008年6月

2008年6月29日 (日)

心の水着

なにかとお騒がせのオリンピック水着ですが、こないだNHKの朝のニュースを見ていたら、オリンピックで着用されるSPEEDOの水着のデザインをComme des Garconの川久保玲さんがしたそうです。

書家井上有一の作品「心」の文字を水着の右側にあしらったデザインです。
川久保さんによれば、最後までその文字を「水」(だったかな)にしようかどうしようか迷ったが、選手が競技の最中もっとも大切にするのは心だろうから、そちらを選んだとのことでした。
水着の構造上、色を変えられない部分があったり、かなりデザイン上の制約があっての仕事です。にもかかわらず、オリンピックという世界の舞台で、どの民族にも受け入れられるような明快なコンセプトを提供するというのは、さすが川久保さんだなと思いました。その嗅覚と、落としどころの鮮やかさ。

ニュースでは試作段階のデザイン図も撮影していて、心の文字は共通ながら、各国の国旗をデザインに取り入れることを報じていました。国旗をデザインのためゆがめたり、バランスを変えたりするのは結構慎重にする必要があると思うのですが、こういうところでも挑戦をしているということか。
実は結構マジメに、トラブルにならないのを祈ってます。

今日は簡潔にして完結。なんかブログっぽくて、こういう書き方もいいなあ。

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2008年6月28日 (土)

あいだ はざま スペース

この1年ぐらいかな、渋谷の駅前で”FREE HUGS”と書かれた紙を掲げて立ち、フリーハグズ!と叫んでいる若者を見かけるようになりました。
そして、通りがかりの人がOKなら、互いにハグする(抱き合う)のです。ハグとは、挨拶的な抱擁のことですね。

最初は、なにかの宗教活動かと思っていたのですが、気になってネットで調べたら全然違いました。アメリカ(オーストラリア?)の男性が始めたキャンペーンらしいのですが、社会運動でもないし、思想信条のアピールでもないし、あえて言えば身体メッセージかな。

一人の男が、「フリーハグ」というパネルを持って街を歩き、見知らぬ人とハグするという運動を始める。次第にハグを受ける人が増え、同じようにパネルを持って街に出る人も増えてきて、やがてこのキャンペーンは世界に広がっていった、ということです。U-TUBEにも、その過程をナレーションなしの音楽ビデオにまとめたものがあがっています。このキャンペーンが世界中に広がったのも、クチコミというより、このU-TUBEによってということらしい。

ハグすることの意味はオープン(一つに決めない)にされています。
たぶんあえて、でしょう。でも、ハグという身体的接触から生まれる安心感や、言葉を超えたコミュニケーションであること、たまたまであった見知らぬ相手と一対一で行うこと、その一瞬の出会いが全てで後をひかないこと、などから、いろいろ判りやすい説明はできそうですね。
そうそう、性的なニュアンスはまったく感じられません。
とまあ、こうして考えてみると、改めてすごく素敵なコンセプトだと思います。

先ほどそのU-TUBEのビデオを見ていたら、なぜ私が日本の「フリーハグ」に乗れないかわかりました。
ビデオでは、(たぶんオーストラリアの?)街角でパネルを持って歩き、自らハグする相手を探しているんですが、日本版の方は、数人のグループで、駅前に立って、相手を待ち構えているんです。たぶん、この「数人」で「待ち構えて」「一緒にやろうと誘われそうな雰囲気」が嫌なのです。
フリーハグのパネルを持つ人は、通行人に一対一で向き合ってほしい。集団じゃあ、サークルへの勧誘です。そう、宗教団体の勧誘と勘違いしたのも、それが原因ですね。個人になる度胸がないボクちゃんたちとハグしてもしょうがない。

独立した個人がそれぞれやれば美しいことなのに、それを集団でやることで美しさを貶めている、という気がしたわけです。あー、自分の不快感の原因がわかってすっきりしました。
というわけで、フリーハグは一人でどうぞ!私も、1人で立っている人がいたら、こんどは逃げずにハグしてみてもいいと思っています。


いやあ、長いマクラ、というかこれでもう完結してるような話になっちゃいましたが、実はそんな話をしたいのではなかったんでした。
日本人って、よく他人と接触するのが苦手とか言われますが、実はもともと他人と触れるのに抵抗を感じない民族なんじゃないか、ということです。

先日、渋谷のスクランブル交差点を渡っていて気がついたことがあります。とにかく、渋谷は(というか日本は)よく人とぶつかる街なのです。袖摺りあうも他生の縁と言いますが、渋谷の交差点を渡ると何人と袖を摺りあうことか、、、、。
ニューヨークでは、歩いていてちょっとカバンが触れただけでも必ず"Sorry"と声がかかります。でも渋谷は、何というか、わざとちょっとだけぶつかりながら、それでいてぶつかったことを無視しながらみんな歩いているんですね。

そういう目線で渋谷のスクランブルを歩いてみると、日本人がいかに上手にぶつかりながら(でも歩けなくなるほどの衝突はないようにしながら)歩いているかが分かって、もう感心するばかりです。
でも、気がつけば私も人と人の間の狭いすきまをムリにすり抜けようとしているし、向こうの人もちょっと触れるぐらいの微妙な距離までは体をそらしてくれる。私の中にも「軽くぶつかるけど無視」な感覚が刷り込まれているのです。

元ニューヨーカーで今日本在住という人に聞いてみても、やっぱり渋谷のスクランブルでぶつかりながら歩く感じは不思議だし、ストレスを感じるそうです。そういう話を聞いたら、これまでは平気だった私も、混んだ道を歩くのが苦痛になっちゃって困っていますが。。。。

また、地下鉄でも同じことを感じました。ニューヨークでも、当然地下鉄が混むことはあるのですが、その時に日本の満員電車のように、他人によりかかって体を支える感じはないのです。とにかく他人と接触している部分をなるべく最小限にすべく気を使って、「私はなるだけ体をそらす努力をしています」、とアピールながら乗っている感じがあります。(満員電車でスシヅメという状況は同じなので、あくまでも感覚的なことなんですが。)

人種も考え方も多種多様で、互いに分かり合えないというのが前提だからこそ、相手の空間を侵すことに慎重になるのかも知れませんね。

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2008年6月 8日 (日)

「Cocoo(虚空)」に捧ぐ

私がとても好きだった店が閉店しました。もうないお店なので、実名でいきます。
Cocooと書いて「コクー」。
かわいらしい店名だなあ、と思っていたら、実は

「大学で仏教哲学を専攻していたもので、「虚空」という名前にしたかったんですが、なんか硬いんで、COCOOにしました。」
「よく、「コッコ」と間違われるんですよ。でも、コクーです。」
と、若いマスターに教わりました。

なんて話を受けて、私も学生時代仏教哲学をひとコマとったことを思い出しました。(ひとコマだけですが。)
龍樹(ナーガルジュナ)の著作『中論』では、この世の全てには実体がなく、虚空である、という論が展開されていました。
その時の授業は今思ってもユニークなもので、授業の一番最後のリポートは、龍樹の『中論』とミヒャエル・エンデの『モモ』について述べよ、でした。
エンデは東洋思想に深く影響された、というか、着想も含めてかなり根底に東洋思想があった人でしたから、あながち見当はずれとは言えません。

話がかなりそれましたが、そのお店がやたら真っ暗なのです。
明かりは、(たぶん調光機で絞った)裸電球一個。これではメニューも読めないので、グループに一個ずつ小さなキャンドルが付けられます。
手作りのスピーカーから、昔のソウルミュージックや宗教音楽などが、独自の耳で選ばれていました。ここで教えてもらって、愛聴盤になっているものもあります。
たとえば、



JAZZMANというレーベルから出ているコンピ、"What is Wrong With Groovin'"。ドーナツ盤のレア曲をとても丁寧に発掘していて、どのCDも最高なのですが、特にこのアルバムは、ギターやドラムのエコーの感じがとっても「音響」的で、大音量、いい音で聞くと最高です。

あと、オノセイゲンの「サイデラ」レーベルのアルバムもよくかかっていました。要するに、とても音に集中できる環境のお店だったのです。

そういうわけで、私も、このお店に何枚かアルバムの紹介をしました。たとえばこれ。


Dead Can Dance "Toward the Within"

おっ、アマゾンで調べたら、今年の7月に紙ジャケットで再発されるようです。紙ジャケットはなんとなく好きになれないのですが、それはそれとして、また注目を集めるタイミングなのかもしれませんね。
これは、4ADというイギリスのレーベルからのアルバム。80年代中盤から、コクトー・ツインズなど、耽美的(いまやちょっと恥ずかしい誉め言葉ですが)なアルバムを数多くリリースし、ある時代を作ったレーベルです。(これは90年代中期のアルバムですが。)
この「デッド・カン・ダンス」(バンド名は、「死者も踊れる」、という感じなのでしょうか?)にけっこうはまっていました。いわゆる耽美だけではなくて、ケルトやペルシャなどの民族音楽のエッセンスを、メロディー、楽器、歌唱法(ヨーデルみたいな歌い方まで、、、、)もろもろに取り入れていて、かなりプログレっぽいところもあります。
でもそんな理屈をこねずとも、端的に「かっこいい!」と思える、おすすめのアルバムです。静かなところも多いですが、強烈な盛り上がりもやってきます。

さて、
このアルバムには「ペルシャン・ラブ・ソング(Persian Love Song)」という曲があります。おそらく、題名どおり、ペルシャのラブソングのカバーなのだと思いますが、そこから、こんどはこのアルバムを連想しました。
David sylvian "Brilliant Trees"

この3曲目の"Nostalgia"のイントロが、Dead Can Danceの上記のアルバムのなかの一曲、"Persian Love Song"と全く同じメロディーを使っています。節回しも同じなので、どちらかがどちらかをサンプリングしているのか、それとも共通のサンプルソースを使っているのかもしれません。
このアルバム、よく癒し系とか言われますが、そして、まあ実際そういう聞かれ方もできますが、内に込められたオーガニックな力に圧倒されるアルバムです。
たとえば。
木が静かに静かに枝を広げて行くときは、激しく自己主張することもないので、一見物静かで恐ろしくもなんともないように見えます。が、ひとたびそれを止めようと思うと、その力の巨大さに圧倒されるでしょう。誰もそれを抑えることはできない、、、、。オーガニックな力といったのは、そんな、恐ろしさを秘めているアルバムだからです。


そして、最後の連想、これは単純にタイトルからの連想ですが、Cocooのマスターには、"Persian Love"という名曲が入ったこのアルバムも勧めたことがありました。
Holger Czukay "Movies"

ホルガー・シューカイ(チューカイ)は、カンという伝説のロックバンドのベーシスト。
このアルバムでは、短波ラジオのテープコラージュと一緒に演奏するというかなり実験的なことをしていますが、「ペルシアン・ラブ」はとてもポップでせつない名曲。
むかし、ヤン富田さんのライヴで、生で短波ラジオをかけて演奏していた、とか、コーネリアスのライブでオンエア中のテレビの映像を使ってVJをしていた、なんて話の根っこには、このアルバムがあるのかもしれません。

ラジオとの競演ということで、「即興性」も問われるのでしょうが、聞いていると、それよりも、海の向こうで流されている曲と一緒に音楽をやっているという「同時性」がより強く心に残ります。この「ペルシアン・ラブ」の切なさは、そんなところからきているのかもしれません。


Cocooのマスターは、親の介護のためにいったん田舎へ帰るとのこと。
またいつか、あの空間で、音楽を聴いてみたい、です。それまでお元気で。

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2008年6月 4日 (水)

NYサルサ

NYより無事帰ってきたものの、なんとなくしゃっきりしないままのんべんだらりと今日に至ります。

今回は忙しくて、見たいと思っていたものの半分も見られませんでした、が。
いちばん、自分的に反省したのは、ミュージカル「ママミーア」で爆睡したこと。疲れていたせいもあったけど、、、、。
実は、「ママミーア」は、「せっかくニューヨークに行ったんだから、ミュージカルぐらい見ないとね、、、、」という貧乏根性で見に行ったら、自分の正直な感想(つまんない、、、、)がねじふせたという感じでしょうか。
ちょっとベタすぎて、、、、。もう吉本みたいなシモネタ爆発で、まわりのおばちゃん大爆笑、歌えばみんな大拍手、で、客席には「料金分楽しんでやるぞ」という気迫みたいなものが満ち溢れていて、それがなんか、辛かったです。
なんか、余裕がない感じが、、、、。
もともと、ニューヨークと言うのはこういう、世界最高の芸を競う場所、そして見に行く場所だとは思うのですが、それはそういう余裕のなさと表裏一体なのですね。

そういうなか、面白かったのが、
ファニアのベスト盤発売のイベントでした。

Fanianyc_front_final

ファニア・オールスターズというのは、サザンオールスターズの名前のソースともなった、ニューヨークサルサのスターバンドです。


THURSDAY MAY 15 2008
Tribute to Fania
& Official NYC Release Party for DJ Sake
One's Fania Live 03 CD

Featuring DJs:
Bobbito aka Kool Bob Love (NYC)
Sake One (SF)
Laylo (NYC)
spinning Classic Salsa, Afrobeat, Soul, and Hip Hop

Live Performance by:
Ilu Aye
(Afro-Caribbean Roots Music)
Hosted by:
Flaco Navaja (NYC)
Fran Boogie (SF)


お店のイベント案内によると、
S.O.B.’s celebrates the release of Fania Live, a collection of the fabled salsa label’s tracks mixed by standout Bay Area spinner Sake 1—who happens to be the brother of the late, great NYC DJ and former TONY Clubs editor Adam Goldstone. Besides Mr. 1, you’ll get more deck action from Bobbito and Laylo, with local Latin combo Ilu Aye performing live. ¡Wepa! For more info, go to sobs.com.

DJ Sake 1 によるファニアのベスト盤の発売を記念して開かれたイベントだったのです。

(ちょっと忙しくて、完成まで寝かしておくとまだまだ時間がかかってしまいそうなので、とりあえずここでアップします。続きはいずれ。)

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