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2009年5月

2009年5月31日 (日)

「喧嘩上等」 by 村上春樹 ~『1Q84』の挑発~

村上春樹の『1Q84』読了しました。

二日掛かりましたが、仕事の移動中とかも含め、寸暇を惜しんで読み進めました。
相変わらずのページターナーぶりで、一旦読み始めたら本が置けません。

さて。
以下はストーリーには触れませんが、読み方によってはネタバレになると思います。ご注意ください。

この本、面白いし、読む価値はバッチリあります。
が、読んで癒されたり、心静かになる類の本でないことは、とても確かです。
いや、逆に、かなり論争的です。

あえて言いますが、「喧嘩上等」な感じ。

そうだ、ここでもう一度繰り返しておきましょう。

ここではストーリーには触れませんが、
小説に登場する団体や人についてコメントするので、まっさらで向かい合うためには、読まないでください。

きっと、読まないほうが衝撃度は高いと思いますので。

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さて。

読んで真っ先に思ったこと。それは、村上春樹、今回はかなりケンカごしだな、ということです。
かなり確信犯的に論争を起こそうとしているんじゃないでしょうか。

それは、ノーベル賞に最も近い作家、という自分の立場で何ができるか、を真剣に考えた末の行動のように思います。

子ども連れで布教する、「証人会」という宗教団体の名前は、「エホバの証人」を想起させます。
村上春樹は、小説中で、「証人会」を「カルト」と形容しています。
(1984年の日本で「カルト」と言って通じたかはともかく。)

そのほかにも、ヤマギシ会を思わせる、有機農業を売り物にしたコミューン的な農業集団が登場します。
ここは、やがてオウムを思わせるカルト宗教団体に変貌していきます。

あと、NHKは実名で登場しますが、ある種の「カルト」として登場していますね。


(本筋とはそれますが、登場する編集者の小松は名物編集者ヤスケンを想像させます。
村上春樹の生原稿を売り飛ばした(らしい)、安原顕です。
文芸誌の編集者で、雑誌に自分のコラムを持って他人の悪口を書きまくっているところとか、でもその裏には冷徹な計算があるところとか、でも小説を愛しているところとか、そっくりヤスケンのイメージです。
違うところは、小松の服が地味なところぐらい。
これは、どういう意図なのか気になるところです。)


さて。

小説は、題名の『1Q84』にふさわしく、ジョージ・オーウェルの小説『1984』とも深くリンクしていますが、私が当初考えていたような、現代社会(=巨大な管理社会)の批判、という面よりは、より小さな団体の中で起こる「考える事の放棄」「都合のいい歴史の改ざん」が主題のように感じます。


たとえば。
オーウェルの『1984』には、「ニュー・スピーク」という新しい言語が登場します。
これは、「革命」だとか、「異議申し立て」だとか、とにかく権力者に都合の悪い単語を排除した言語です。
言葉さえなくなれば(=歴史さえ書き換えれば)それはなかったことになり、人々もそれについて考えることがなくなる、という考え方から作り出された言語です。

そうした、意識的な歴史改ざんが、村上の『1Q84』では、登場する様々な団体の中で起こっています。
(そして村上は、それは現実の団体の中でも起こっているのだ、と言いたいのだと思います。)

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ああそうだ、最後にもう一つ。

『ねじまき鳥クロニクル』~『海辺のカフカ』あたりでピークに達した、解決しないナゾが、『1Q84』にも頻出します。
でも、なぜか、今までの混沌とはちょっと性質の違う、いわば「秩序ある混沌」(言語矛盾ですが)を感じるのです。

今後また読み返し、深く読み込んでいくことで、この混沌がどうみえてくるのか、楽しみです。
意外に、今までの混沌より、理屈が立つ混沌のような気も、するのですが。
結局名前だけで登場しなかった少女、「あざみ」も含めて、このままお話は終わってくれてもいい。

でも、ムラカミファンとしては、『ねじまき鳥』のように、後になって「BOOK3」が登場するほうに賭けたいです。

まあ、そういうわけで面白いのではありますが、今までの小説にはない、「攻撃性」を強く感じるのです。
是非何度でもお楽しみください、ダーク サイド オヴ ハルキ ムラカミを。

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追記

私は、今までのブログでは「村上さん」と書いてきましたが、
今回は呼び捨てにしました。
どうやら今回はこの方がしっくりくるようです。なぜか。

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2009年5月 3日 (日)

ヒッピーに捧ぐ。

RCサクセションの忌野清志郎さんが、昨日なくなりました。
58歳。

「忌野」という名前からして、強烈な異人感をもった、
不世出のロッカーでした。
闘病のことも時々は耳にしていたのですが。。。残念です。


「お別れは突然やってきて
 すぐに済んでしまった」

「いつものような何気ない朝は
 知らん顔して僕を起こした」


「ヒッピーに捧ぐ」を聞いて、今日はフテ寝します。

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