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2010年4月30日 (金)

沢尻エリカ様と『ねじまき鳥クロニクル』と拒絶の物語

今日、ワイドショーで沢尻エリカさんの一連の離婚騒動を時系列で復習しているのを見ました。
私は、今もって「沢尻エリカさんってこんな顔してるんだ」、ぐらいの芸能オンチです。そんな私が、わざわざブログにまで書こうと思ったのは、なんとなく、「キモい」と夫の高城剛を拒んだエリカ様の発言に気になるところがあったからです。

芸能ニュースを聞いて私が最初に思ったのは、「これって、村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』じゃん。」でした。
『ねじまき鳥クロニクル』では、主人公の妻が全く予兆もなしに失踪します。やがて主人公のもとに義理の兄が代理人としてやってきて、「妹は、君には会いたくないといっている、離婚して欲しい」と言うのです。しかし、主人公は、「妻と直接話をするまでは離婚には応じられない」と、義兄をかたくなに拒みます。
義兄と主人公が妥協点を探るうち、結局、チャット(ちょっと昔に流行った、パソコンの画面を介したリアルタイムでのテキストのやりとりのこと。会話は文字だけで、顔も見えず、声もきこえません。なんだか時代を感じる小道具ですね)なら妻と話ができることになり、会話する。
小説では、この会話の場面が一つの山場になっています。妻の声もなく顔もないため、遠く離れた場所でパソコンのキーボードに向かっているのは本当に妻なのか、主人公は確証が持てません。文字で、二人だけしか知らない秘密を語られても、画面の向こうの相手が確かに妻だという確証が抱けないのです。まるで、チューリングテスト(被験者が文字だけで相手と会話し、その会話だけで相手が生身の人間か、パソコンかを見分ける実験。原理的には見分けられないとされる)のような状況ですね。
これに先立つ妻からの手紙で、妻は、画面越しに結婚後の浮気を告白しています。そして、そのいくつかの状況証拠は、主人公にも思い当たるところがあるものでした。
パソコンでの会話は、そのだめ押しとなって、主人公は画面の向こうの妻の言葉を信じ始めます。だとすれば、妻の主人公への裏切りはずいぶん前から続いており、失踪も計画的なものだったということになります。

エリカ様の場合も状況はとても似ていて、夫の高城剛さんは、直前まで妻が離婚を考えていることすら気がつかなかったそうです。
しかし、ある日突然、エリカ様へは電話もメールも通じなくなる。そして、一方的にウエブを使っての一方的な離婚告知があり、彼のもとにエリカ様の兄が現れ、妹が離婚したいといっている、と交渉を始める。
芸能リポーター氏の話によれば、沢尻エリカさんのほうは、事務所との契約など、復帰後のレールをこっそり敷いた上での、計画的な離婚発表だったことがわかってきた、ということなのです。
なんだか、主人公の男性と妻とのディスコミュニケーション具合がとても似てると思いませんか。

話は飛びますが、2,3日前にスポーツ新聞の表紙に「キモい」と大書してあって、何のことかと思ったら、エリカ様が高城剛さんを「キモい」と言ったという報道でした。たまたま同僚の妙齢の女性と食事していたときだったので、その「キモい」の話になりました。
彼女によれば、女性はいくら大好きな相手でも、突然全てが許せなくなってしまっていることがあるというのです。そうなってしまうと、今まではなんとも思っていなかったちょっとしたしぐさやクセが鼻について許せないものになってしまう。そういう気持ちを「キモい」というのだけれど、そうなってしまった後では、相手に「なぜキモいと思うの?」「君の前でやらないように気をつけるから、何がキモいのか教えて」と、問い詰められること自体が「キモい」というのです。
「キモい」と言う時は、言っている本人にも明確に理由がわかっているわけではないのです。分かっていれば、まだ関係を修復する余地もあるでしょう。
そうではなくて、「キモい」とは、「生理的になんとなく不快なんだけど、それがなぜか突き詰めると本当に不快になってしまうから、深く考えずに目をそらしている」という時にいう言葉なのです。「キモい」という場合には、「理由を考えたくない」。そして、その先にはコミュニケーション拒否の深い谷が広がっていて、関係を修復するすべはないのです。

『ねじまき鳥クロニクル』の妻とのチャットのシーンでは、主人公が妻に執拗に「離婚したいと思う訳」を聞こうとし、妻は執拗にはぐらかす、という図式でした。

しかし、様々な秘密を明らかにした妻が、たった一つ明らかにしなかった秘密、それは「夫をキモく感じた」ということだったのでしょう。エリカ様を見る限り。

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